AT-PEQ3改造2
2016-02-29


前回は電源装置を作成した。

 全波倍電圧整流は、半波整流を2階建てにした回路なので、リップルに弱いと踏んで、大きめのコンデンサを搭載したのは良いが、電源を切っても30秒近くは動作を続け、本体のパイロットランプとして使われているLEDが完全に消灯するには1分近くかかってしまう。

 電源OFF後の放電のための抵抗を仕込もうとも考えたが、新たにスイッチで放電抵抗を電源OFF後に接続するのも大仰だし、常時放電抵抗を負荷に置くと、こちらのほうがメイン負荷となってしまって、消費電力がバカにならない。しばらくはこのまま放置することにした。電源装置にはパイロットランプがないので、放電負荷代わりに電球を噛ませてもいいかもしれない。いずれにせよ、AT-PEQ3への電源供給はコンデンサに充電されたものがまかなっているような状態なのだろう。低域の改善はもちろんだが、静粛性も高まった。ACアダプタからのノイズから逃げられたのか、リップルから回避されたのか。内蔵の3端子レギュレータでリップル除去はできているはずだが、もともときれいな電源に越したことはないということだろう。

 第2弾は、デフォルトで装備されているオペアンプ、NE5532Pの換装を実施。まず基板からNE5532Pを除去。はんだごてを当ててはんだを溶かし、はんだ吸い取り器で溶けたはんだを吸い取って、ゆっくりとラジオペンチかIC抜きで抜き取る。その後に丸ピン8PのICソケットをハンダ付け。
 換装用に準備したオペアンプは3種類。かつてPCM1710を使った自作DACの出力バッファ用に使い、サブシステムのDACとして10年以上現役だったバーブラウンのOPA2604、そして現役として氷菓の高いJRCのMUSE8820と同じくMUSE8920。それぞれのオペアンプを丸ピン8PのICソケットに装着し、AT-PEQ3の基板に取り付けたICソケットにソケットごと差し込む。ソケット2階建ての形だが、これだと換装時にICの足を破損する恐れがない。丸ピンを選んだのもこのため。安価な平ピンだと、あっという間に接触が甘くなる。

 さて、気になる結果だが、まずデフォルトのNE5532Pは、適度な左右の広がりとエネルギー感で無難に聴かせる。レコードってこんなものだよと、レコード未体験の人に聴かせたら、へえ、レコードってこんなにいい音がするんだと言ってしまうだろう。製品としての完成度は高い。決して安かろう悪かろうといった感じはしない。もっとも、比較対象がなければの話だし、イコライザアンプだけで6桁プライスの製品とまともに勝負するなどというナンセンスなことは考えず、あくまで庶民的な線での話だ。いずれにせよ、プライス4ケタ半ば、お小遣いで買える商品としては十分すぎるクオリティだと言っていい。

 これをバーブラウンのOPA2604に換装するとどうか。かつての名オーディオ用オペアンプの名に恥じない結果かどうか。NE5532Pに比べてまず感じるのが、左右の広がりの狭さ。悪い意味ではなく、カチッとタイトに中央に寄る感じ。しかし音の密度感はNE5532Pを凌ぐ。真ん中よりの音像が前に飛び出してくる感じ。派手さはないが、パワフルで躍動的だ。至ってまっとうな音、普通のいい音がする。PCM1710というDACも同じ傾向の音がした。ビギナークラスの耳を引く派手さはないが、玄人好みの音がする。これをAT-PEQ3が採用しなかった理由もなんとなく頷ける。コスト面の問題もあるが、4ケタプライスに手を出す購買層を考えれば、渋好みの高品質より、派手で華のある音のほうが訴求力が高い。


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