「高い城の男」読了
2016-08-29


フィリップ・K・ディックの「高い城の男」を読了。

 ディックといえば、本物と偽物、現実と仮想の混乱と倒錯が生み出す悪夢のような世界が定番だが、この作品もまさにそれだ。

 第二次大戦で枢軸国側が勝利し、アメリカが分断統治されている世界。ドイツの政治内乱から生まれる虚々実々の駆け引きが、アメリカの大衆文化商品が骨董としての価値を産み、その偽物も出回っている世界で繰り広げられている。

 そして、多くの地域で発禁となりながら、読み継がれている、枢軸国が敗北した場合を想定した架空の小説。

 さらに全編に散りばめられた「易経」。

 ずい分昔読んだ小説だったが、再読して、やはりディックらしい一作だと改めて認識した。
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