採用ルール廃止
2018-09-04


経団連が大学生の採用ルールを廃止すると言い出した。どうせ守られていないのだから、もう止めようと言うわけだ。赤信号みんなで渡ればなんとやら、ズルや抜け駆けはし放題でもう手がつけられないのだろう。

 要するに早い時点から大学生を囲い込みたいという魂胆だろうが、それはつまり大学生の実質在学期間を短縮することと同義だ。早く内定を出せば、早く学問に帰れるという考え方は言い訳にすぎない。早く内定を出した企業が、卒業時まで業績を維持するという保証はどこにもないからだ。行く先不安を抱えた学生は大企業に殺到し、あぶれた学生は延々と就活の無間地獄をさまようことになる。

 通年採用を取り入れた企業にとってはどうでもいいことでもある。通年なのだから、新卒も既卒もない。むしろまだ新卒一括採用なんてやってるのかと冷ややかな視線だ。これらの企業は就職時期を分散化することで、就職希望者の人選をゆとりを持って行うことができる。

 見も蓋もない言い方をすれば、どこの大学に入ったかのほうが重視され、大学で何を学んで身につけてきたかなど、どうでもよいというのが経団連の本音だろう。大学教育には最初から何も求めていない。卒業という経歴さえあれば、中身が4年間でどうなっていようがお構いなしである。それならいっそ、大学入試新テストの点数で就職を決めればいいではないか。大学に行く必要すらない。どうしても「卒業」と言うハリボテの事実が欲しいのなら、4年間の学費ぐらい給与代わりに出せばいいだろう。端的に言えば、大学生という業務に従事する職員を雇うわけだ。そうすれば奨学金の問題も一気に吹っ飛ぶ。もっともそんな人件費は「無駄なコスト」と言うだろうが。
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