「三体II:黒暗森林」読了
2020-10-03


「三体II:黒暗森林」を読了。

 三体人の侵略艦隊が迫る中、三体人の量子コンピュータである「智子」によって地球の情報は完全に筒抜け状態。だが、三体人は完全な相互コミュニケーション能力を持っており、地球人類のような「腹芸」や「嘘」を把握できないことが判明。そこで、自分の頭の中だけで戦略を立て、それを誰にもさとられず実行するための権限とリソースを与えられた「面壁人」が人類の中から4人選ばれる。主人公はそのなかでも最も不可解な選ばれ方をし、活動も人類とは何の関係もない私生活充足のみ。だがどうやら彼こそが三体人が最も恐れる面壁人だった…

 少々強引なオチの付け方のようにも思えるが、主人公が意外な形で問題の核心に近づき、おまけに情けない人物なのは同じ。ヘタレなのにやるときゃやる男とくれば、日本で一番有名なあの5歳児の父親のようなイメージか。

 前作に続いてがさつな切れ者警官は健在。シリーズものにつきもののエピソード言及による読者サービス(前作の主人公のその後もさり気なく知らされる)もあって、上下二巻のボリューム(もっとも海外SFならこの程度の分量、上下二段組厚めのハードカバーでドンっと出版されていてもおかしくない。ハイペリオンに比べれば可愛い分量だ)を意識させない。

 エンタメ小説としても文句なし。次作第三部でシリーズ完結なのだが、期待できるに違いない。何事もなく出版されることを祈るばかりだ。
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