2022-01-17
室生犀星「蜜のあわれ」を読了。
作者を思わせる老境に差しかかった「おじさま」と、彼が飼っている3歳の金魚。ところがこの金魚が17歳ぐらいの女の子に姿を変えて「おじさま」と一緒に過ごし、出歩いたりする。
どこかコケティッシュで、いきいきとした若々しい金魚娘は「おじさま」を翻弄し、「おじさま」もまたそんな彼女を愛おしんでいる。
こんな二人は人生感から尾籠な下ネタまで、フランクに話し合う。それが時には艶笑ネタになって笑いを誘ったりもする。
そんな二人のまわりを取り巻く何人かの謎の女達。彼女たちはなぜか娘が金魚が化けていることに気づいているようで…
ラストシーンの余韻のあと、突然あとがき風のエピローグになり、この金魚娘のその後が描かれる。なんともはなかく、あわれで切ない。
数年前に映画化されて話題となった作品。
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