大学の理系転換
2023-04-18


大学の学部を理系にシフトすることに、文科省が支援を始める準備をスタートしたという。IT一人負けの状況から脱却するための方策だと言う。

 IT一人負けの最大の原因は、学ぶより買ったほうが安いとばかりに、某米国私企業にすべてを丸投げにして、まさに隷属状態でコンピュータを普及させたからだ。IT先進国では、「買うより自分で作るほうが面白い」「みんなで作るほうがみんなが幸せになる」「金儲けの一人勝ちより、自分が使いやすいものをみんなで共有し、支え合いたい」という意識がIT関連の若者たちにたしかにあった。インターネットの普及の波に乗り、Linuxを筆頭にOSレベルからオープンソースプログラムの開発が盛んで、それを通じて高いレベルのIT技術者が輩出している。

 大学の学部を多少いじったぐらいでどうこうなるはずもないだろう。まさに「買ったほうが安い」という発想だ。

 そんなことより、中学・高校にメスを入れて、理系・文系という時代遅れの区分けを排除するほうがよほどマシだ。要は数学と理科の学習時間が不足していて、全員に全部を履修させることが物理的に難しいということと、「苦手」生徒への数学・理科の教授法が確立、一般化されていないことの正当化として「苦手なんだから、そこそこでいいさ、そういう連中は文系を選べばいい」という言説が、学校どころか社会全体に蔓延しているということの問題だ。

 文章を思いのままに入力したい。そんな「文系」っぽいこだわりがワープロアプリの開発につながるのだし、数式や学術用語まみれの研究成果を社会に広げ、理解してもらうためのリテラシーは「理系」には必須だ。

 「理系」などという言葉が出てくる事自体、IT一人負けを容認しているようなものではないのか。
[topics]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット