「星界の報告」読了
2017-08-09


ガリレオ・ガリレイ著、伊藤和行訳「星界の報告」を読了。

 本編だけなら100ページにも満たない小冊子だが、17世紀のパラダイムのもとで、我々にとっては周知の事実は通用しないということを考えれば、大きな内容を持った作品だと言える。

 天上界という一種の宗教的理想世界を、現実世界へと引きずり下ろしてしまった望遠鏡(この作品では「覗き眼鏡」)という観測装置。これを手に入れ、そこから得られたデータを記録し、万人にとって納得の行く方法で解釈する。デバイス政策というハードウェア、観測という地道な日々の積み重ね、そして新しい知見を解釈する想像力と、それを他者に納得させるリテラシー能力。この時代、科学はまだまだ総合学問であったことがよくわかる。
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