猛暑と水害
2017-08-10


記録的大雨、長寿台風、そして猛暑。弱り目に祟り目だ。

 被災した人々の口から出てくるのは、「生まれて初めて」という言葉。

 この国の平均年齢は80歳程度。意識があるのは70年ぐらいだろう。地球の地殻変動周期は100年、気候変動はそれよりも長いスパンだ。そして20世紀後半は歴史的に見て異常なほど、地殻変動も気候変動も穏やかな半世紀だった。だからこそ、人類社会は急速に発展できたとも言われている。人間にとって災害とは、もともと「生まれて初めて」のものだ。

 人災はもっと気短だ。どこかの国の首長とどこかの国の首長が、子供じみた非難合戦に明け暮れている。だが問題なのは、この大きな子供二人が、人類を滅ぼしかねない厄介なシロモノを使うことができるという点だ。20世紀の冷戦時代、全面的核戦争で人類が滅亡するというシナリオがリアリティを持っていたのは、「生まれて初めて」のできごとではない。

 どこかの国の首長は、自国から湧き上がった核の犠牲者の願いを無視したスピーチを、被爆地で行い、被害者から詰め寄られたという。それでも「核の傘」に守られるためには、被害者の祈りを黙殺せざるを得ない。

 人類は愚かではない。しかし、愚かな人間が人類を滅ぼす愚行に走ることはある。
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